東京で上場を目指す企業様や会計監査(法定監査)を受ける企業様にとって、監査への理解と準備は事業の信頼性を高める上で不可欠です。会計監査は、単に法令を遵守するためだけではなく、経営管理体制を強化し、市場や取引先からの信用を得るための重要なプロセスとなります。
以下では、公認会計士が担う会計監査(法定監査)の目的と全体像、監査をスムーズに進めるための財務諸表と内部統制の準備ポイントについて解説いたします。上場準備や法定監査への対応を確実なものにしたい企業様は、ぜひ最後までご覧ください。
東京で上場準備をする企業が知るべき“会計監査”の流れと公認会計士の役割
東京で上場を目指す企業様にとって、会計監査は避けて通ることのできない重要事項です。この監査は、企業の財務諸表が適正に作成されているかを、公認会計士という独立した専門家が検証し、意見を表明することを目的としています。この意見表明によって、投資家や債権者などの利害関係者は、企業の財政状態や経営成績に関する情報が信頼できるものとして利用できるようになります。
上場準備における「会計監査」とは何ですか?
上場準備における会計監査は、証券取引所の上場審査を受けるための前提条件であり、特に過去2期間の財務諸表について監査意見を得ることが求められます。この監査は、単なる数値のチェックではなく、企業全体の信頼性を保証する行為であり、上場後の企業の持続的な成長基盤を確立する上で重要な意味を持ちます。
一般的な会計監査の流れ
会計監査は、主に以下のステップで進行します。
1.監査計画の策定
監査人が企業の事業内容やリスクを評価し、監査の焦点を絞るための計画を立てます。重要性の基準値を設定することで、どの程度の誤謬や不正が財務諸表に影響を与えるかを判断します。
2.期中監査(内部統制監査)
期中に、企業の会計処理システムや業務プロセスが適切に機能しているか、つまり内部統制の有効性を検証します。
3.期末監査(実証手続)
期末の勘定残高や取引について、残高確認や証憑との突合といった実証的な手続を実施し、財務諸表の適正性を確認します。
4.監査報告書の作成
最終的に、監査手続の結果に基づき、財務諸表に対する監査意見を表明した監査報告書を作成します。
公認会計士が果たす重要な役割
公認会計士は、企業から完全に独立した立場で監査を実施します。これにより、企業内部の都合に左右されることなく、客観的かつ専門的な視点から財務情報の信頼性を保証します。この独立性が、企業の信頼性向上、ひいては資本市場の健全な発展に大きく寄与することになります。
東京・上場前の企業が早めに対応すべき“財務諸表監査”と“内部統制”の準備
上場準備プロセスにおいて、会計監査への対応をスムーズに進めるためには、早期の準備が重要です。特に財務諸表監査と、その前提となる内部統制の構築は、監査期間の短縮と監査費用の抑制にも直結する要素となります。
「財務諸表監査」における準備の重要性
財務諸表監査では、作成された貸借対照表、損益計算書などの数値が、企業会計の基準に準拠し、すべての重要な点において適正に表示されているかが検証されます。
正確な会計処理の徹底と証憑類の整理
日々の取引における会計処理の誤謬や、証憑類の不備は、監査において指摘事項となる可能性が高まります。
早期の論点整理
特に複雑な会計基準が関わる取引については、監査契約前や期中の早い段階で監査人と協議し、対応方針を確定させておくことが肝要です。これにより、期末間際での重大な方針変更という事態を避けられます。
上場準備で必須の「内部統制」の構築
内部統制とは、企業の事業活動が適正かつ効率的に行われるための仕組みであり、会計監査における監査人の検証対象となります。
内部統制の構築
統制環境、リスク評価、統制活動、情報と伝達、モニタリングの基本的要素に基づき、不正や誤りを予防・発見する仕組みを文書化し、運用することが求められます。
IT統制の整備
会計システムや基幹システムに対するアクセス管理、変更管理など、ITを利用した統制も重要な要素です。
監査対応をスムーズにするための資料準備と体制
監査が始まると、監査人から大量の資料や質問が求められます。監査調書の整備状況や、監査人からの質問に対して迅速かつ的確に回答できる社内体制を構築することが、監査期間全体を通して大きな効率化に繋がります。
法定監査って何?東京の中小企業が押さえておくべき財務諸表チェックポイント
法定監査という言葉は聞くものの、ご自身の企業が対象となるのか、どのような準備が必要なのかという疑問をお持ちの東京の企業様もいらっしゃるかもしれません。ここでは、法定監査の基本と、日頃から公認会計士の目線でチェックすべき財務諸表のポイントについて解説します。
「法定監査」の基礎知識と対象となる企業様
法定監査とは、会社法や金融商品取引法など、特定の法律によって実施が義務付けられている会計監査のことです。
会社法において、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の「大会社」は、公認会計士または監査法人による監査が義務付けられています。
中小企業様が日頃からチェックすべき財務諸表の基本項目
企業規模に関わらず、正確な財務諸表の作成は経営判断の基礎であり、法令遵守の基本です。監査対応の有無にかかわらず、以下の点を確認することが推奨されます。
売上計上の正確性
売上が発生した時点と、会計帳簿に計上した時点でズレがないかをチェックします。
資産・負債の網羅性
計上すべき資産や負債が漏れなく計上されているかを確認します。
固定資産の管理
減価償却費の計算が正確であるか、帳簿上の固定資産が現存しているかを定期的に確認します。
資金繰りとの関連性のチェック
財務諸表上の利益と実際の資金繰りに大きな乖離がないかを確認することで、異常な取引や会計処理がないかを早期に察知できます。
公認会計士の力が必要な方は服部令公認会計士・税理士事務所へ
上記では、会計監査の全体像、公認会計士の役割、そして上場準備企業様や法定監査の対象となる中小企業様が早急に着手すべき財務諸表と内部統制の準備ポイントについて解説いたしました。
適正な会計監査を受けることは、企業の財務諸表の信頼性を高め、社会的な信用を獲得するための重要なステップです。特に上場を目指す企業様にとっては、スムーズな監査対応が上場成功の鍵となります。
服部令公認会計士・税理士事務所は、上場準備段階における会計監査対応、法定監査のサポート、そして内部統制の構築支援など、専門的かつ実務的なサポートを提供しております。お客様の事業規模やフェーズに応じた的確なアドバイスと、質の高いサービスで、お客様の課題解決に貢献可能です。
会計監査や上場準備に関する不安、または費用や具体的な流れについてご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。
上場準備・監査に関するQ&A
上場準備の会計監査はいつ頃から始めるのが理想的ですか?
理想としては、上場申請を行う直前々期から会計監査を受ける体制を整えることが推奨されます。特に上場準備の初期段階で監査法人と連携し、会計方針や内部統制の論点を整理することで、後の手続きがスムーズに進みます。
内部統制が不十分だと、監査でどのような問題が発生しますか?
内部統制が不十分だと、財務諸表に重要な虚偽表示が含まれるリスクが高まります。監査人はこのリスクを評価するため、十分な内部統制がない場合、実証手続の量を増やす必要が生じ、監査費用の増加や監査期間の長期化、ひいては上場準備スケジュールの遅延に繋がる可能性があります。
中小企業でも法定監査を受ける義務があるのはどのようなケースですか?
会社法上の大会社(資本金5億円以上、または負債総額200億円以上)に該当する場合、法定監査を受ける義務があります。
